秋の田

 一日を十日で生きたや法師蝉
 秋田の父から電話。台風で心配した稲刈りが滞りなく終了したとのこと。思いのほか多収穫であったらしい。
 先日、カメラマンの橋本さんと岡山に出張した折、実った稲がまだ刈られずに残っているところがあった。驚いたのはその田んぼに水が張ってあったこと。コンバインで刈るとすればなぜ今ごろ水を入れているのだろう。
 かなかなや茜に染まる杉木立
 かなかなとたれを恋ふるや夕間暮れ
 かなかなや百年のちの今鳴けリ

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涼→寒

 ブラウス下黒とピンクの透ける秋
 この中に幽霊も居り交差点
 カメラマンこぼるる汗を拭ききらず

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 顔まぢか鼻はこんもり穴ふたつ
 九月も終わりに近づき、日に日に涼しくなってきました。温度計を見、一度ちがうと体感温度がこんなにちがうものかと驚きます。
 岡山への出張を終え新横浜で新幹線を降りた時、空気というか微かな風のかほりがして、横浜はやはり港町なんだなあと思いました。
 湯上りに靴下から穿くカメラマン

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三泊四日

 気功の日おお波こ波腹わらふ
 橋本さんとの撮影行無事終了。押花作品、グラスアート、天井絵など数十点。大正時代になったという瀟洒でモダンな建物(昨秋、それが「もみつる」という素敵なギャラリーに変わった)は森閑とした辺りのたたずまいとよくマッチしている。秋が深まるころ再度訪ねる予定。
 鼻あぶら画鋲のごとく埋まりけり
 カメラマン首が戻らぬ亀鳴けり

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出張

 ぐるんぐるん蔓を離れず南瓜かな
 今日から月曜日まで岡山出張。普門院の衣笠澤子さんは以前小社から押花作品集『野の花の饗宴 衣笠澤子の世界』を上梓したが、この度二作目となる作品集を刊行することになった。
 新しいギャラリーも出来、押花だけでなくグラスアート、ポーセラーツなど精力的に製作した作品群を撮影してくる。橋本さんとの二人旅。
 目がやっと頭は寝たり午後(ひる)仕事
 重力を頭で知つたる昼寝かな

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稲刈り

 とぼとぼと山坂下りぬ秋燕
 東北は大雨の影響で稲刈りが遅れているそうだ。この時期、一日一日実る稲は、実るほどにこうべを垂れる。たっぷり実った稲が雨にやられるとぺしゃんこになってしまう。農家は戦々恐々の思いで天を仰ぐことになる。
 子供の頃、天日干ししていた稲を運ぶ段になって雨が降りだし、父が身ぐるみ脱いで稲の上に被せパンツ一枚で仕事をしていたことが忘れられない。
 へーっくしょい若妻のこゑ谺(こだま)せり

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写真家

 となりびとこゑのみしるや鍼灸院
 岡山への出張撮影の準備で橋本さん来社。百数十点の作品の撮影となると準備も相当なもの。
 機材を丸めダンボールでくるんで梱包する橋本さんの背中は筋骨隆々としており、まさに肉体労働者のそれだ。
 写真を生業とする人との付き合いがなかった頃は、写真家って、もっと派手で、髪が目にかかったりして、若い娘たちがきゃーきゃー言って取り巻いたりして、浮いた話の五つや六つぐらいはざらで、どこでそんなに稼いでくるのかと危ぶむぐらいに実入りがよく、なんて羨ましい職業なんだと仰ぎ見ていたのだが、汗だくのTシャツから透けて見える筋肉の盛り上がりは、そんなまぼろしを跡形もなく粉砕してしまった。
 かさこそと昼寝ゆするや秋の風

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