関係

 にょろにょろり主人(あるじ)無き間のサボテンは
 世話になっている鍼灸の先生のところでの話。
 予約制で、わたしはだいたい土曜日の午前十時半と決まっている。何度か通っているうちに、顔なじみの人もでき、挨拶を交わすようになった。「お先に」「あ、どうも。お疲れさまでした…」。お疲れさまはおかしいか、と思ったが、わたしと入れ替わりの中年の男性は靴を履き、そそくさと帰っていった。
 「どうぞ」。カーテンで仕切られただけのスペースに通され、ベッドに横になる。先生は脈を診、何箇所かに鍼を刺し、隣りの人を診に行く。しばらくするとまた先生がやって来る。診察しながら、いろいろよもやま話に興じたりもする。先週は、石から光が発するのを見た人の話をした。先生は、へー、とか、本当ですか、と驚いている。カーテンを開け、カーテンを閉め、隣りのカーテンを開けて、「今日も面白い話を聞けたね」「はい」。隣りは中学生の女子で、名前も顔も知らないが、カーテン越しにいつの間にか親近感が湧くようになっている。なんだか面白い関係。
 夏草や息まで青くなりにけり
 言葉もて塗り込めしのち今に触れ

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