同居人
夜の蜘蛛わが掌中に息ひそめ
ふと見ると、壁に張り付いていたり、床でじっと身をひそめていたり。蜘蛛です。
見つけると、つぶさぬように捕まえて、そっとベランダに逃がしてやります。
つぶさぬように捕まえ、と書きましたが、これが結構たいへんです。柔らかく捕まえようとすると、ピッと跳ね、追いかけて捕まえようとすると、またピッと跳ね、十数回繰り返しているうちに、机の裏側に雲隠れしたりしてしまいます。ところが近頃、そっと指を近づけると、割りと簡単に捕まえられるようになりました。仲間同士で、あいつは殺さないから平気だ、みたいな申し合わせ事項が成り立っているのかな。
幕末の異国船や紅葉坂