散歩がてら

 暖冬とはいえ、寒さのせいで、気が付いたら蕾みたいに固くなり閉じこもってばかりいた。もうすぐ春だし、すこしシャキッとして外へ出てみようと思いたち、保土ヶ谷駅から横浜へ出、東横線に乗り換え渋谷へ、さらに銀座線。シートに座っているうちに自分の姿勢が気になり、覚えたばかりの蛹動を繰り返す。変な目で見られたってかまうものか。ふと見上げると、中刷り広告の和田アキ子、ヘドウィグ・アンド・アングリーインチのポスターそっくり。気が滅入る。どうしたものか。外へ出たって空が見えると決まったわけでもなし、眼を閉じて慧中に意識を集めることにした。ところが頚椎2番の痛みが忘れられず、雲間から空が覗くかとの思いも束の間、意識は区もマ~みたいに途切れ途切れ、また閉じてしまった。それでも霞むまなこをいっぱいにあけ、通り過ぎる駅名をなんとか網膜に焼き付けようと試みるだけは試みたのだ。地下鉄の駅に降り立ち、階段を上って地上へ出たら、やはり空はどこにも見当たらない。雨で干せなかった布団の下に忘れてきたってことも、ない話ではない。

45d8d0cfe7a82-070217_1149~01.jpg