ことし五月に『挨拶の哲学』という本を出しました。
著者の鳥越覚生(とりごえ かけせい)さんは、
「人は森羅万象と挨拶をするために生まれてきたのではないか」と仰っています。
編集をしながら、とても共感しました。
きょうの朝まだき、
ゴミネットを組み立てに行きましたら、
守宮がいました。
「おはようヤモくん」
春にはたびたび見ていた守宮が、酷暑の折は姿を見せなかった。
やっと涼しくなって、ちがう個体のようですが、
またでてきたのかな?
一日一ページ読む本について、ここに書いたことがありますけど、
一日一ページ読む本も、
その著者に日々、
あいさつしているような気になります。
おーなり由子さん、リジューのテレーズさん、ジョン・ウェスレーさん、等々。
じっさいの友だちには、
そうそうしばしば会うわけにはいきませんが、
一日一ページ読む本の著者たちには、
文をつうじて、
毎日会うことができます。
テレーズさんや、ジョン・ウェスレーさんのように、
他界されている人であっても。
たとえば、
おーなり由子さんは現役で活躍されている方ですが、
おーなりさんの『ひらがな暦 三六六日の絵ことば歳時記』
のきょう九月五日のページには、
「いちじく」のタイトルで、
こんなことが書かれています。
残暑の中で、とろんと、あまくあまくなっていく、いちじく。
よく熟れたいちじくをむくと、包丁でひっぱるだけでするするっとむけていく。
あの、うすきみどりの、やわらかな綿のような不思議なくだもの。
中をひらくと、意地悪そうな赤い実をびっしりとかくしている。
いちじくは、漢字で書くと無花果。
誰にも見せないように、内側にむかって花を咲かせて。
そうして、ひとり、甘い実をむすびます。
文に添えられた、やさしげな手描きのイラストがかわいく。
おーなりさんにお目にかかったことはありませんけど、
文を通じて、このごろ毎朝、会っています。
・かしら上げ哲学しばし蜥蜴かな 野衾