魔法の椅子

 

朝のルーティンはこのブログを書くこと、サイフォンで珈琲を淹れること、
それと読書。
三つのうち一番長くつづけているのが読書ですが、
二十年ほど前に、
思い切って、
少し高価なアーム付きリクライニング型ソファを購入しました。
専門店に足を運び、
いくつも実際に座ってみて、
これだというものを選びました。
古今東西の、
とくに意識して古典を読んできましたけれど、
ふり返れば、
この椅子のおかげが多分にある
気がします。
数年前、
膝の裏が当たるところが擦れ革が薄くなってきたので、
修理の業者の方に来てもらい、
修繕しました。
長く使ってきて、気になったり、ストレスがかかることが全くありませんから、
この椅子がわたしの読書には最適なのでしょう。
ありがたいことです。
いま手元にありませんが、
長田弘さんの『読書からはじまる』を読んだとき、
ページを割いて椅子のことが書かれてあり、
とても共感しました。
自分の体に合った椅子は、
読書には欠かせません。
何時間でも(たまに居眠りすることもありますが)
座りつづけられる椅子があれば、
いつの時代へも、
構造物や制度に遮られることなく、
どこへだって思いのままに飛んで行くことができます。
わたしにとってこの椅子は、
魔法の絨毯ならぬ、
魔法の椅子。
だいじに長く使っていこうと思います。

 

・禿頭に手拭い露天風呂に雪  野衾