無私への旅

 

ヘーゲル『精神現象学』の終りに、
こんなことが書いてあります。

 

この系列の行き着くところは深みの開示〔啓示〕であり、
絶対的概念の開示である。
従ってこの開示は精神の深みを止揚することであり、
それを展開することであり、
自己内に止まる自我を否定することである。
(G.W.F.ヘーゲル著/牧野紀之訳『精神現象学』p.1010、未知谷、2001年)

 

とちゅうごにょごにょぐちゃぐちゃしていても、
最後がかっこいいと
むずかしく感じた箇所も含めて好きになる
映画や小説のように、
視界がパッとひらけたよう。
そして、
シラーの「友情」と題する詩からの自由な引用だというこの二行。

 

様々な精神の国の杯があってこそ
精神は無限に豊かに泡立つのである。
(同書p.1011)

 

けっきょく、
奥邃をさらに読みとくための読書になったようです。

 

・鯉ゆらり水とろりする極暑かな  野衾