地図ふたたび

 

・初冬の夢に叔父あり叔母があり

得地直美さんに描いてもらった地図ですが、
先週この欄でリンクを張ったところ、
どういうわけか、
とてもとてもデカくなり、
JR桜木町駅から矢印に沿って歩くイメージとしては、
まあありか
とも思いましたが、
全体像がつかみにくいため、
PDF画像にし
もう一度アップすることにしました。
コチラです。
この地図を見ていると、
小学校低学年のころ、
学校の前が文房具屋さんで、
それから一軒措いて隣が温美さんの家、
それから大麦と寺沢のほうへ行く道がわかれ…、
と、
地図を描かされたことがよみがえります。
社会科の授業だったと思います。
得地さんの地図に、
小さく建物が描かれているところがありますが、
それがどれも正確で、
驚きました。
小さいけれど、
フィクションでなく実写です。
今度こちらにお越しの節は、
この地図を出力し、
あるいはタブレットかスマホの画面で見ながら、
実物とぜひ見比べてみてください。
なるほど!
とご納得いただけるでしょう。

・立冬や行ってきますの声高し  野衾

春風社までの地図

 

・粧へる山に入りたり祖母と我

JR桜木町駅から春風社までは徒歩で約10分。
京浜急行日ノ出町駅からだと約12分。
ですが、
初めて来社される方に
ことばで説明しようとすると、
なかなか大変です。
大変だけれども、
それをやって
来社された方に
「すぐにお分かりになりましたか?」
と尋ね、
「はい。迷わず来られました」
といわれると、
嬉しくなります。
でも、
地図があったらもっと便利。
それに
紅葉坂の辺りは、
美味しいお蕎麦屋さんあり、
野毛にも近く、
にぎわい座があったり、
動物園があったりで、
春風社にお越しいただくだけでは
もったいない気がして、
地図があったらなぁ、
さてだれにお願いしようかな
と思ったら、
ぴったりの方がおられました。
得地直美さん。
得地さんにはすでに
『突撃!よこはま村の100人 自転車記者が行く』
『神奈川ゆかりの作家たち』
で、
イラストを描いてもらっています。
ほのぼのとした
温かい雰囲気の絵を描かれる方です。
ぜひ得地さんにと思い
お願いしたところ、
二つ返事で快諾してくださいました。
描くために三度(!)
現地に足を運んでくださり、
すてきな地図が出来ました。
コチラです。
初めての方、
初めてでない方も、
これからは、
この地図を頼りに
どうぞお越しくださいませ。

・祖母ありて深く入りたり秋の山  野衾

小さな出版社の~

 

・朝寒や校庭の子ら前転す

去年の暮れに『小さな出版社のおもしろい本』という本がでて、
ウチも取り上げてくんないかなあと
思っていたら、
取り上げられました。
題して
『小さな出版社のもっとおもしろい本』
今回のが好評だったら、
つぎは、
『小さな出版社のもっともっとおもしろい本』
で、
際限なく、
もっともっともっともっと、
ねぇあんたって、
だんだん妖しくなってきたり(笑)
んなことないか。
冗談はともかく、
大きく取り上げていただいて
ほんと嬉しいッス!
表紙にはウチの
『哲学 はじめの一歩』が大きくフィーチャーされ、
だけでなく、
春風社のきゃりーぱみゅぱみゅまで
載っています。
ありがたし!
雑誌の扱いが割と大きいコンビににも置いてありましたから、
かなりの冊数を刷ったものと思われます。
水色の表紙が目にとまったら
どうぞ手にとって見てやってください。

橋本照嵩『石巻かほく』紙上写真展
の三十六回目が掲載されました。
コチラです。

・頬赤き若き社員や冬近し  野衾

新体詩抄

 

・江ノ島や波とどまりてそぞろ寒

小西甚一の『日本文藝史』がいよいよ近代に入り、
ますます面白く、
ページに顔を近づけて読んでいたら、
こんな記述があって爆笑し、
そののち納得。

東京大学の社会学教授外山《とやま》正一(一八四八―一九〇〇)・植物学教授矢田部《やたべ》良吉(一八五一―九九)・哲学助教授井上《いのうえ》哲次郎(一八五五―一九四四)の共編著『新体詩抄』は、英米詩の翻訳十四篇と外山・矢田部の創作詩五篇を収める。文藝について素人の学者たちがこのような試みをしたのは、西欧文明の移入がいまの日本にとって緊要なのにも拘わらず、詩の分野において世人がまったく無知であるのを啓蒙してやるべきだ――という善意によるものだったろう。しかし、善意だけでまともな詩が出来るのならば、今来古往、詩の制作に骨身を削る人はひとりもいなかったはずである。だから、外山たちの腕まえについてとやかく論評する必要は、たぶん一ミリグラムも有るまい。ところが、やむなく『新体詩抄』を問題にするのは、それが新体詩というジァンルを提唱し、かつ定着させたからにほかならない。

*《   》内はルビ。

・朝寒の空に烏の鳴きにけり  野衾

アール・ヌーヴォー?

 

・銭湯の湯気のとなりの貌を見つ

しのぎやすいいい季節になりました。
紅葉の季節。
口にするものも一段と美味しく感じられます。
さて、
そういうわけで、
昼の楽しみの食事へと
野毛坂を下りていたとき、
同行のイシバシが、
「いい季節になりましたねぇ」
「そうだね」
「もうそろそろアール・ヌーヴォーが出回るのじゃないでしょうか?」
「…………」
「アール・ヌーヴォー…?」
「…………」
「え!? まちがって、ます?」
「それさぁ」
「え!?」
「ボジョレー・ヌーヴォーじゃね?」
「ははは…。それそれ」
「はははじゃねえよ。たのむよ、もう。笑われっぞ」
「はいはい」
「返事はひとつ」
「はい」

・ジェット風呂下よりふるるふぐりかな  野衾