崖が見える

 

・散紅葉空の青さを変えてけり

土曜日、久しぶりの鍼灸院へ。
その帰途、
横浜駅で東横線の電車を降り、
エレベーターに乗り地下一階へ向かいます。
するするするとロープが下りてきて、
ぞろぞろ箱の中へ。
ふくろうのごとく身を細め、
口元まで細くタテに。
目の前にドカッと中年男性の後頭部。
明らかにカツラと分かります。
なぜならば、
カツラが
崖の上の草のごとく頭上にあり、
首の辺りに生え残っている毛とのあいだに、
肌色の崖が見えているからです。
子どものころに遊んだ崖を思い出しているうちに、
エレベーターは地下一階に到着。
遊んでいると、
時間はすぐに経ちます。

・散りてなほ子らと戯る落ち葉かな  野衾