Archives : 11月, 2015

ボンヘッファー再読

 

・冬空や青が低きに木霊せり

学生時代、
宮田光雄先生のところの読書会に参加していた折に、
ディートリッヒ・ボンヘッファーの
『現代キリスト教倫理』が
テキストになったことがありまして、
夢中になって読みました。
有無を言わせぬ迫力があり、
いっぱい傍線をひいて読んだと記憶しています。
その後、
本を売ってしまいましたが。
しかし、
マレーネ・ディートリッヒも
好きな女優さんだけれども、
ディートリッヒつながり
というわけではないけれど、
大切な名として
ボンヘッファーの名を忘れずに来ました。
今また
ボンヘッファーを読んでみよう
という気になり、
『現代キリスト教倫理』はもとより、
ベートゲの
『ボンヘッファー伝』(全4巻)
などを古書で求め、
年末の読書にあてたいと思っています。
まずは、
ボンヘッファーの
『共に生きる生活』を。

・冬の蚊を叩き耳鳴る底の底  野衾

十一月も終り

 

・道行きて山の上にも冬の月

十一月も終りに近づき、
いよいよ寒くなってまいりました。
これから年末にかけ、
ますます時間が加速していくのでしょう。
プレッシャーの年賀状書きがそこまで来ています。
さてこのごろは、
マスクをすることが多くなりましたが、
メガネが曇りにくい

謳い文句にあるものの、
画期的に曇らないマスク
というのに
お目にかかったことがありません。
ほんとうに
メガネが曇らないマスクが登場したら、
それこそ
ノーベル賞ものでしょう。
いろいろ
マスクをかける位置を変えてみたり
するのですが、
やっぱり曇るもんなぁ。
それで結局、
鼻から下へずらしてかけることに。
まったく、
意味ねえし…。

・裏返り言挙げせずの落葉かな  野衾

虹色の魚

 

・吹く風にとぐろを巻きし落葉かな

季節は初夏。
あのころは真一くんと仲良しでよく遊んでいて、
魚を釣りに、
ではなく、
素手で魚を捕まえに行ったことがありました。
わたしたちの住む仲台から丘を下り、
大麦部落へ向かう辺りを蛇行する井川に、
靴と靴下を脱ぎ、
シャツとズボンの裾をまくって、
ゆるゆる入っていきました。
真一くんの真似をし、
腰をかがめ、
両手を水につけ、
魚をもとめガサガサガサガサやるのです。
こんなことして
ほんとうに
魚が捕まえられるんだろうかと、
目の下数センチのところを見ながら
疑問を感じ始めたとき、
バシャバシャッと音がし、
先を行っていた真一君が後ろに大きくのけぞって、
真一くんの両手から
虹色の魚が宙に舞いました。
あああっ!!
魚は一瞬、光を反射し、
そのあとすぐに川に落ち見えなくなりました。
「おしがったぁ!」
茫然自失。
わたしは立ちすくんだまま
真一くんの後姿を黙って見ていました。
真一くんをすこしだけ
尊敬する気持ちになっていたと思います。
なぜだか不意に、
今日、
そのことを思い出しました。

・凩來やかん頭を滑りけり  野衾

職業病

 

・凩來かぜかんむりも吹き飛べり

たき火だたき火だ落葉たき、

声をからして歌ったのははるか昔。
街なかのこともあってか、
このごろとんと焚き火を見ません。
が、
落ち葉はたんとありまして。
立ち止まって見とれることはしょっちゅう、
たまに拾ってつくづく眺め、
「この色、ぜったい出ないなぁ!」
と、
ひとりごつ。
印刷で出せないという意味です。
落葉を粉末にしインクをつくれないものかしら?
一本の木から落ちてきたのに、
こんもり積もるほどなのに、
同じ葉っぱが一枚もないというのは、
やっぱり驚きです。
赤と黄色の鮮やかさといったら。
紅葉が本当に美しいのは一日だけ
と、
幹郎さんおっしゃってたなぁ。

・階に落葉絨毯つづきをり  野衾

恋人たち

 

・冬の館恋人たちの夢がたり

「神奈川新聞」服部宏さんのコラムにおいて
高評価だったこともあり、
連休の最終日、
家人と黄金町のジャック&ベティへ。
服部さんのおかげもあってか、
上映前、
映画を観に来た客の列が整理番号100を超え、
外まで延びておりました。
数年前に比べると、
このごろは本当によく客が入っています。
営業努力の賜物でしょう。
橋口亮輔監督作品『恋人たち』
高評価どおり、
2時間20分、
飽きず眠らず最後まで
楽しく観ることができました。
通り魔殺人によって妻を亡くした主人公と、
彼を取り巻く人間たち
それぞれの物語
といっていいと思いますが、
切り口がシャープなのと、
登場人物たちの表情、しぐさ、せりふがリアルで、
いるいるこういうひと、
と現実感満載。
中年女性が丘の上にしゃがんで
タバコを燻らしながらの放尿シーンは
圧巻でした。
いくつかの、
いまどきの恋の物語があって、
だから「恋人たち」
なのでしょうけれど、
主人公が立ち直っていく過程を
もっと観たい気もしました。
が、
それはまた別の物語なのでしょう。
若い映画だとも思いました。

・手にほとり色を真似たき落葉かな  野衾

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。