対談

 『新井奥邃著作集』完結にあたり、監修者の一人、コール ダニエル氏と日本思想史が専門の黒住真氏の対談がきのう行われた。日本思想史、特に日本における近世の儒教に造詣の深い黒住氏から、奥邃の文章によく登場する「父母神」「二而一」「日用常行」など、キリスト教としては不可解、また異端ともみられる用語についての解説があり、新しい光が当てられる形となった。別巻に収録したコール氏の労作「聖書語句引照一覧」とあわせ、儒教における天や道、徳といったことがどんなふうに奥邃に流れ込んでいたのかの一覧が欲しいところだが、それは今後の研究を待つしかない。対談の中身は来月「週刊読書人」に掲載の予定。撮影は橋本照嵩氏。