カネボウSALA

 資生堂マキアージュのCFについ見とれたことを先日ここに書いたばかりだが、今度はカネボウ。幻想的な絵柄の中に、首が捻じ曲がった長靴を穿いたアルマジロ、ラッパのくちばしを持つ白い鳥、これからパーティーにでも出かけていきそうな着飾った双子の貴婦人など、なんとも魅力的で不思議な登場人物たちに囲まれた物語世界。そこに美少女SALAが現れる。
 かつてサントリーローヤルのテレビコマーシャルで、砂漠でサーカスをしているような摩訶不思議なものがあった。キャッチコピーは、
  その詩人は底知れぬ渇きを抱えて放浪を繰り返した。
  限りない無邪気さから生まれた詩。
  世界中の詩人達が青ざめたその頃、彼は砂漠の商人。
  詩なんかよりうまい酒をなどとおっしゃる。
  永遠の詩人ランボオ。
  あんな男、ちょっといない。
 カネボウSALAのコマーシャルは、酒は出てこないけど、ちょっとあれを彷彿とさせる。わずか二十秒ほどなのに(だからこそなのか)、圧倒的で濃密な物語に驚かされる。物語がなければ生きていけない人間の哀しさがそこにある。