微妙の風

 じりじりと暑い日が続くと、エアコンからながれる涼風がほしくなる。寝る時もスイッチオンのまま、なんてこともしばしばだった。ところが最近、エアコンが作り出す人工的な涼しさが気になり始めた。家ではほとんどエアコンを使わない。寝る前に西式の温冷浴をやっているせいか、暑くて眠れないということもない。
 休日、寝転がって好きな本を読む。うとうとしてくればソファーに体を投げ出せばよい。しばらくすると、開け放った窓から風がながれ込み、カーテンを揺らし、わたしまで届く。その風の気持ちよさと言ったら、ちょっと他では味わえない。同じ風なのに、エアコンの風と微妙に違う。