聊斎志異の女性たち

 

『聊斎志異』は、中国、清の時代の怪異短編小説集で、
作者は蒲松齢(1640-1715年)。
柴田天馬の訳で読んでみたいと思い、
修道社から昭和30年に発行された『定本 聊齋志異』全6巻を
古書で求めていたのをやっと読みはじめました。
が、
これのどこがおもしろいの?
と、
悩ましいものもありまして。
かと思えば、
スッキリハッキリ、
おもしろいのは、めっぽう面白く。
とくに恋愛、結婚譚で、
ああ、たしかに魅力的な女性だなぁと思って読んでいると、
だいたい、いや、ほとんど、いや、ほぼほぼ、
人間の女性でなく、
狐でありまして。
美人であることはもちろん、
情に厚く、可愛げがあり、
涙ぐましいほど真実で。
一方、
生身の人間の女性はといえば、
人間に変身した狐の女性に比べると、
影が薄い。
こちらはそれほど魅力的に描かれていない。
巻が進むうちに、
じぶんのこれまでの半生で出会った素敵な女性は、
あのひとたちはみんな、
ひょっとしたら、
狐?
ふと、そんな想像をしてみたくなります。
それはともかく、
63篇もある狐の変身譚には、
作者である蒲松齢の女性観、人生観が如実に表れている気がします。

 

・鍼灸院出でて二声寒烏  野衾