服いくつ

 

NHKのニュース番組でよく見る気象予報士の関口奈美さん、
おっとりたれ目パンダでかわいいわけですが、
見るたびに、
着ている服が変わります。
すごいなぁ、
いくつ持っているんだろう?
ぎもんがもたげて以来、
あしたの天気よりもそっちのほうが気になりだした。
あいだを置いて前に着た服を身につけるのか
と思いきや、
いまのところ
「あ! この服見たことある!」
と気づいたことはありません。
ぜんぶ自分の持ち物なのだろうか?
それとも専門のそういう貸衣装屋があるのだろうか?
もしぜんぶがじぶんの持ち物だったら、
家んなかが本以上に服であふれかえっているんじゃなかろうか。
服代たいへんだろうな。
ひとごとながら、
そんなことを考えると夜も寝られません、
なんて。

 

・灯火親しページ繰る音のみしたる  野衾

 

ある感じ

 

今月二十五日がわたしの誕生日で、
その日の夜に義理の姪っこから電話がありました。
六十二歳になった感想を訊かれ、
気持ちが
子どもの頃とあまり変わらないのに、
からだの衰えは如何ともしがたい、
みたいなことを口にした。
電話を切った後、
ふとんに横になってつらつら考えているうちに、
ふと気づいた。
十代二十代の頃は、
こころがからだに埋まっていた。
餡子のような。
それがいつの頃からか、
この頃は、
こころがからだを覆っている。
テレビで一枚の写真を示し、
ある箇所が少しずつ少しずつ変化し、
さいごはだれがみても大きく変化している、
さあそれはどこでしょうか?
というようなクイズがありました。
あんな感じ。
からだに埋まっていた餡子が、
いや、
こころが沁み出し、
いまではからだを覆い、
だけでなく、
見るもの聞くものなんでも世界を包んでいる。
そんな感じでしょうか。

 

・誘はれて月見宴(うたげ)の座頭かな  野衾

 

丸彦製菓の揚いそべ

 

商品三連発。
こんかいは丸彦製菓の揚いそべ。
おかきを海苔で巻いたこの種のものは他にも多くありますが、
このごろよく行く「こけし」の女将さんご推奨
とあっては
買わないわけにはいかない。
食べてみて
一度で好きになりました。
カリッと齧ったときは
ふつうの海苔巻きおかきのようですが、
だんだんだんだん米の旨味甘味が口中に広がってきます。
さらに揚げの香ばしさも加わって。
丸彦さんのキャッチコピーがふるっている。
「一粒から始まる夢とロマン
大地の恵み〝お米″その一粒一粒に夢を託して夢を広げる企業です。」
なるほど。
なっとく!
きょうはこれを会社に持っていって社員にふるまおう。

 

・秋の水富士をうつして閑(しずか)なる  野衾

 

小林製薬のハナノア

 

鼻づまりがして、ンクッ、ンクッとやって
つまりを取り除こうとするのですが、
どうもうまくいかず、
そうだ鼻のうがいをしてみようと思い立ち、
洗面所の鏡の前で両手で水をすくい、
目をつぶり腰をかがめて勢いよく鼻で水を吸い上げた。
と、
いてててて。
ツーンとして痛いのなんの。
目は充血。
鼻の奥の痛みは相当時間持続。
しかし、
その甲斐あって、つまりは解消しました。
そんなことをしているうちに電車の窓に貼ってあった広告を思い出した。
若い女性の鼻からつーと水が落ちていて、
「痛くない鼻うがい」
みたいなことを
たしか書いてあったような。
忘れないうちにと近くにあるクリエイトに出向き、
店員をつかまえたずねたところ
教えてくれました。
それが小林製薬のハナノア。
説明書をよく読み、
ふんふん、ふんふん、
で、
さっそく試してみました。
水でやった時のあの嫌なツーンがない。
洗浄した後、
かすかにミントの香りまでしてさわやか~~~。
スースー! いい具合。
というわけで、
以来、
愛用しています。

 

・秋高し自転車をこぐ湖(うみ)に嶽(たけ)  野衾

 

味覚糖の塩あずき飴

 

このごろたまに寄る
保土ヶ谷橋交差点ちかくの駄菓子屋さん「こけし」にて、
味覚糖の塩あずき飴を購入し食べたところ、
すぐにあずきの味が口中にひろがり、
まさに味覚糖さんいうところの
「おいしさはやさしさ」
と知りました。
この味を独占するのはもったいないと思い、
会社でひとり一粒ずつ配りました。
専務イシバシはたまたま誕生日でしたから二粒。
あっちからもこっちからも
「おいしい!」「おいしい!」
というわけで、
来月、
例年どおり保土ヶ谷の小料理千成にて忘年会を行うとき、
希望のひとを連れ
「こけし」さんに行くことにしました。
飴のほかにも、
選りすぐりのせんべいやおかきもありますから。
女将さんもきっと喜んでくれるでしょう。

 

・東(ひむがし)に煙立つ見ゆ冬の曉  野衾

 

人麻呂と中国

 

伊藤博の『萬葉集釋注』は六に入りました。
この巻には
柿本人麻呂の歌が多数収録されていますが、
こころをすなおに表現する「正述心緒」、
物に託してこころを陳べる「寄物陳思」ということばは、
人麻呂の考案であるらしい
と書かれています。
ただ、
ことばとしての「正述心緒」「寄物陳思」
は人麻呂の考案でも、
分類の発想そのものはどうやら
詩経を初めとする中国文献によっているようです。
柿本人麻呂もそうですが、
万葉の歌人たちがいかに中国のものを読み込み勉強したのかを
あらためて思わされます。
たとえば令和という語は
たしかに万葉集にあるけれど、
すでに中国の文選にでてくる用語です。
また、
万葉集そのものが
中国の詩経や文選に学んだ歌人の歌によって成り立っている
(それだけではないと思いますが)
ことを考えると、
日本独自ということは
なかなか言えなさそうだし、
それよりも、
先人(この場合は中国)の知恵
に学ぼうとしたこころに
むしろ打たれます。

 

・紅葉かつ散るノーサイドホイッスル  野衾

 

成功的理想主義者

 

先日、東京学芸大学の末松裕基先生がゼミの学部生、
大学院生とともに来社され座談会をおこなった
ことはこの日記にも書きましたが、
座談会の内容と感想が記されたレポートを
末松先生が送り届けてくださいました。
どれもすばらしいレポートで、
わらったり考えさせられたり、
座談会当日もたのしかったけれど、
レポートを読みながら冷静にあの時間を思い出しました。
中国からの留学生が三人いましたが、
三人とも日本語で
たっぷり感想を書いています。
日本語がちょっとおかしいところもありましたが、
彼女たちにとっては外国語の日本語で
よくぞここまでまとめたもの
と感慨ひとしお。
なかにわたしのことを、
成功的理想主義者と評された方がありました。
漢字ばかりがならぶとなんだか強そう。
面白南極料理人みたい。
成功的は、
会社の借金が無くなったことを指しているのかもしれません。
成功的かどうかはともかく、
理想主義者といわれれば、
そういうところがあるかもしれないな
とも思います。
夢見がち
ということでもあるでしょう。
レポートを読み終わった後で末松先生に電話でお礼を伝えたところ、
本を読めなくなっていたのに、
また本を読めるようになったというひともいます
と告げられ、
それは何よりとうれしかったです。

 

・ながれ来てかたちを変へず冬の雲  野衾