サノ靴店

 

・秋風や吊るしのシャツの揺れてをり

井土ヶ谷から保土ヶ谷へ引っ越してきて
二十年になりますが、
旧街道沿いにサノ靴店があります。
昭和好きの人間としては、
この店の前を通るだけでふっと肩の力が抜けます。
でっぷり太ったおじさんがサノさんかな。
まちのこと、ひとのこと、
いろんなことを知っていそうだし、
変化を見てきたのでしょう。
今度入ってみようかな。

・保土ヶ谷にクツとサンダルサノ靴店  野衾

東大生もタイヘン

 

・坂の上ただなんとなく秋見てる

テレビを点けたら、
明石家さんまが司会をする番組に現役東大生が
大勢でていました。
天下の東大、
もちろんアタマはいいわけですが、
東大生には
東大生ならではの悩み
があるらしく、
そこは司会のさんまさん、
うまく盛り上げ
おもしろい番組でした。
日曜日のこととて
家人は出かけており、
ひとり寝転がって見ていたのですが、
思わず、
声を出し
笑った場面がありました。
ちょっと様子のいい茶髪男子、
ある時期、
トイレ掃除のアルバイトをしたことがあったそうです。
便器をいっしょうけんめい
拭いていたら、
上司からいきなり、
「東大生なんだから、
もっと効率よくできないのかっ!」
と注意されたのだとか。
東大青年カチンときた。
「便器を拭くのに効率もクソもあるかよ!」
こころのなかで叫んだ。
アハハハハ…
そりゃあ怒るよな。
それはともかく、
「便器を拭くのに効率もクソも…」
トイレ掃除なだけに「クソ」が効いている。
さすが東大!
怒られただけで終らせない。
と思ったら
可笑しくなって、
ひとり爆笑。
笑ったせいか昼寝は爆睡。

・爪ぱちんと飛んだ三日の月  野衾

小さい字

 

・鬼灯を鳴らす母あり娘あり

若いころから
メガネをいくつも替えてきましたが、
今のところ
近眼だけで済んでいるので、
助かっています。
が、
これに老眼が加わって
そのためのメガネも必要となると、
とっかえひっかえ
ということになりますから、
なんだかとっても
忙しそう。
ブルーベリアイを欠かさず飲んで、
いまの視力をキープしたい。

・夏の雲とけて流れて薄まれり  野衾

みぞうゆう?

 

・夏休み放すもんかのりなぴかな

元総理の麻生さんが「未曾有」を「みぞうゆう」と読んで
顰蹙を買った
ことは記憶に新しいのですが、
先だって、
岩波文庫の『正法眼蔵』を読んでいたら、
「未曾有」に
「みぞうゆう」と
ルビが振られていてびっくり。
ええええっ!
ありなの!?
中村元の広説佛教語大辞典で調べてみると、
「みぞう」と「みぞうう」
はでてきますが、
「みぞうゆう」はありません。
しかし、
岩波文庫『正法眼蔵』の校注は
水野弥穂子さん。
先年亡くなりましたが、
曹洞宗の僧侶でもあり、
生涯『正法眼蔵』を読み込み研究された方で、
ルビを間違えるとは思えません。
???
いや、
その可能性も
無きにしも非ずか?
くわばらくわばら。
一国の総理が「未曾有」を
「みぞうゆう」と誤読するなんて、
と100パーセント
馬鹿にしていましたが、
「みぞうゆう」の読み方が無いわけではなかった。
いや、まだ分かりません。
ここは慎重に。
しかし、
常識にとらわれ度が過ぎると、
とんでもないことになりかねないことは確か。
とは言い条、
マンガ好きの麻生さん、
『正法眼蔵』を読んでいたとも思えないけれど…。

・夏休み終へて地獄の試験かな  野衾