水の若く

 

・房総の大漁の兆し鰯雲

「君子の交りは淡きこと水の若く、小人の交りは甘きこと醴の若し」
『荘子』「山木篇」にでてくる言葉。
醴(れい)は甘酒。
たとえばこういう言葉、
若いときは、
はー、で、へー、
おら、君子でねーし、
冷やかし半分で
眺めていたような気がしますが、
齢を重ねてくると、
昔とはまた違ったふうに
感じられます。
言わずもがなのことながら、
君子に近づいたわけでは
もちろんありません。
ますます遠ざかっているでしょうけれど、
そんなことよりも、
「淡きこと水の若く」

いよいよ身に迫ってきます。
淡きことを嫌い、
むしろ濃く、強く、激しく、
を念じ、
ひとを傷つけ、
ひとに傷つけられても来た半生。
遅ればせながらの反省。
君子には
なれなくても、
これからの人との交わりの
教訓にしたいと思います。

・我在りて目覚めし上の秋風鈴  野衾