Archives : 8月, 2016

蚊食い鳥

 

・子を寝かし闇にまぎるる踊りかな

蝙蝠(こうもり)のことを蚊食い鳥。
哺乳類ですので
鳥ではありませんが、
夕刻になると
ぱたぱた飛び回り蚊などを食する
といいますから、
鳥に見立てたものでしょう。
仕事帰り、
JR保土ヶ谷駅から歩いていると、
このごろよく目にします。
いそがしく複雑に旋回し眼で追うのがやっと。
保土ヶ谷はむかし宿場町でしたから、
泊り客も夕涼みに出歩き、
鳥ならぬ鳥の
とりとめない飛翔を面白がって眺めたでしょうか。
なんてことを想いながら、
やれやれ
一日終った終った、
さてビールでも買って帰ろうか、
ついでに焼き鳥も。

・初めよく終り哀しき夏休み  野衾

アブラゼミ

 

・群青の空に岩肌台風過

外を歩いていると、
あちこちで蟬の死骸を目にします。
出社時、
桜木町にある本町小学校横の路地に入ったとき、
日陰になったところに
アブラゼミが落ちていました。
羽の先がギザギザし、
まるで破れた蛇の目傘。
死んでいるのか
と思いましたが、
木にとまるような形で道にしがみ付いており、
なんとなく気になって、
抓んでみました。
蟻が三匹たかっていましたから、
ふっふっと
息を吹きかけ振り払うと、
死んでいる
とばかり思われた蟬が
鳴きはしないけれど、
ゆっくり脚を動かすではありませんか。
いやビックリ。
捨てるわけにもいかず、
ゆっくり歩いて
階段に差し掛かったところの藪の下に置きました。
ここなら蟻も嗅ぎつけないでしょう。
会社で一日仕事をし、
ひとの仕事もしましたが、
それよりアブラゼミ。
帰りがけに見たら、
居なくなっていました。
だれか持ち去ったか?
台風で吹き飛ばされたか?
消えたか?

・羽破れいのち今わのアブラゼミ  野衾

ハッピーターン

 

・草の香におどろかれぬる秋来ぬと

米菓もいろいろありまして、
コンビニやスーパーで
これは
と思うものがあれば、
買ってきて食べているのですが、
今日紹介するのは、
新潟にある菓子舗・亀田製菓のハッピーターン。
紹介するまでもなく、
みなさんご存知かもしれません。
わたし個人的にコレ傑作だと思いますね。
発売から40周年だそうで、
米菓激戦の時代において40年は大したもの。
改めて食べてみますと、
たしかに、
むべなるかなであります。
サクサクっとした食感と
米菓特有の軽さ美味さもさることながら、
まぶされている砂糖パウダーが
ほどよく甘く
甘すぎず、
つい三個四個五個と食べてしまいます。
袋に描かれているハッピーキャラのターン王子、
これまた昭和の雰囲気を
そこはかとなく
醸しだし、
昭和好きにはたまりません。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。
お菓子うまけりゃ袋までうまい!
袋の裏に、
「みんなにHAPPYがTURNしますように☆☆」
そういうことか。
さてと、
あと四個残っているな。

・落ち来たる露のいのちの消えぬ間に  野衾

「本は物である」考

 

・語らへば暑さを忘る浜の宵

装丁家、イラスタレーターの桂川潤さんをお招きし、
「本は物である」考と題して、
講演、対談、懇親会を行いました。
講演は分かりやすく、
おもしろく、
深く納得する内容で、
本が偉大な発明品であることを再確認。
日々の仕事に、
清新の風を吹き込んでいただいた気がします。
対談は、
桂川さんがこれまで手がけてこられた
春風社の本について。
本づくりの要諦、「こころ」が
一冊一冊の本にどのように
盛られていくのかをお話しいただきました。
プロとアマそれぞれの良さ、
ちがいについても。
最後は、
室内ではありましたが、
暑気払いを兼ねてビアガーデン。
いろいろな職種の方がお越しくださっていましたから、
写真家橋本照嵩さんの
「出版社港町説」が証明された形。
みなさんにこやかに歓談されていたのが
何よりもうれしく。
本も会も砂時計よろしく、
結節点を過ぎ、
新たな関係が静かに展開していく風情。
それにしても、
桂川さんの話は面白い!
お人柄だなぁ。

・春風の港に集ふビアガーデン  野衾

怒涛のときが過ぎ

 

・首手腰しなふりよろし踊りかな

テレビに因幡晃(いなばあきら)がでていました。
秋田県大館市出身のシンガーソングライター。
因幡晃といえば
「わかって下さい」
「わかって下さい」といえば
因幡晃。
わたしもよく聴いたし
よく歌った。
いま歌わない。
な~んでだ?
恥ずかしいから。
あれ、青春の歌ですから。
いま思えば馬鹿みたいな話なれど、
「わかって下さい」を聴けば
痛かったし、
「わかって下さい」を歌えば
泣けた。
泣けた?
はい。
泣けて歌えませんでした。
だって青春真っ盛り!
十年前なら
痛みの名残りみたいなものがあった
気もしますが、
きのうテレビで最終フレーズまで聴いていても、
ちっとも痛くない、
ばかりか、
それよりも何よりも、
因幡晃の乱杭歯(らんぐいば)
が気になってしょうがない。
「わかって下さい」
というより、
「治して下さい」
昭和は遠くなりにけり。
ああ青春!

・太鼓打つ父赤銅に踊りかな  野衾

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。