Archives : 9月, 2016

九月尽

 

・風天の島あり秋に鳶が舞ふ

きょうで九月も終わり。
いやあ、
今年も暑かった。
ぶつぶつボヤキながら首筋の汗を拭いていたのに、
終るとなるとちょっぴり寂しいような。
そんな気分で
昨日はアロハシャツにて出社。
来客の予定もなし、
と思って
リラックスしていたら、
わたしの勘違い。
真面目な顔して応対したものの、
くつろぎムードは否めないよな~。
ま、
いっか。

・コンクリ道カサカサ擦過の枯葉かな  野衾

一冊読むと

 

・見上げれば音無き機体秋に入る

本が増殖中です。
保土ヶ谷の自宅、会社、秋田の実家。
実家の父は、
大工を呼んでどでかい本棚を作ってもらったものの、
それもすぐいっぱいに。
一生読むだけの本はもう
あるはずなのに、
それ以上に買ってしまいます。
なぜそうなってしまうか。
いま仮に、
一冊の本をおもしろく読んでいるとします。
すると、
だいたい、
そのなかに別の本のことが出てきます。
ちらと、
わずか一行で紹介されていても、
なんとなく気になる。
いま読んでいる本の著者が
その本を、
かつてどんな気持ちで読んだか、
著者をもっと深く知るには、
たった一行しか触れられていないけれど、
読む必要があるのではないか。
いや、
きっとある。
それを読めば、
彼の核心に触れられるかもしれない。
そんなような心持ちになり、
パソコンに向かい、
ポチっと「買う」を押してしまうことに。
いまは買うの簡単ですから。
このようにして、
本はますます増えてしまいます。

・透かし視るいのちの秋やカメレオン  野衾

付箋

 

・秋の風つぎつぎに来る雀かな

細かいことですが。
本を読んでいて、
気になるところに付箋を貼ります。
16ミリのものをだいたいふだん使っていますが、
文庫本の場合、
これだとひじょうに都合が悪い。
左右の余白が11~12ミリのものが多く、
ページぎりぎりに貼っても、
端の一行にかかってしまいます。
16ミリの付箋を
ハサミで切って使ったりもしていましたが、
きれいに8ミリ幅で切ることは至難の技。
ということで、
このたび
幅6ミリの付箋を大量に買いました。
これで、
16ミリの付箋を真ん中から切り始めたのに、
切り終わった反対の端が8.5ミリと7.5ミリになっていて
イラっとすることもなくなるでしょう。
よーし貼るぞー!
てか。

・家人固まる公園の蛇穴に入る  野衾

十年目

 

・橋のうへ多生の縁の鬼やんま

なーんの年だ?
はい、
ここに駄句を記すようになって早十年目に入りました。
いちばん最初に載せた句は、

パナマ帽雨バチバチと破れ笠

でありました。
仕事の打ち合わせで、
私立の幼稚園に出向いたその帰り、
急に雨が降りだし、
パナマ帽に当たる雨の音を
聴くともなく
聴いているうちに、
侍の時代にタイムスリップしたような
気になって、
お!
俳句!
そんなような感じで始めました。
いったん始めちゃうと、
飽きないかぎり
長いんでありまして、
雨はまだ止みそうにありません。

・恚らずにぐっと我慢だ秋の空  野衾

水の若く

 

・房総の大漁の兆し鰯雲

「君子の交りは淡きこと水の若く、小人の交りは甘きこと醴の若し」
『荘子』「山木篇」にでてくる言葉。
醴(れい)は甘酒。
たとえばこういう言葉、
若いときは、
はー、で、へー、
おら、君子でねーし、
冷やかし半分で
眺めていたような気がしますが、
齢を重ねてくると、
昔とはまた違ったふうに
感じられます。
言わずもがなのことながら、
君子に近づいたわけでは
もちろんありません。
ますます遠ざかっているでしょうけれど、
そんなことよりも、
「淡きこと水の若く」

いよいよ身に迫ってきます。
淡きことを嫌い、
むしろ濃く、強く、激しく、
を念じ、
ひとを傷つけ、
ひとに傷つけられても来た半生。
遅ればせながらの反省。
君子には
なれなくても、
これからの人との交わりの
教訓にしたいと思います。

・我在りて目覚めし上の秋風鈴  野衾

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。