一冊読むと

 

・見上げれば音無き機体秋に入る

本が増殖中です。
保土ヶ谷の自宅、会社、秋田の実家。
実家の父は、
大工を呼んでどでかい本棚を作ってもらったものの、
それもすぐいっぱいに。
一生読むだけの本はもう
あるはずなのに、
それ以上に買ってしまいます。
なぜそうなってしまうか。
いま仮に、
一冊の本をおもしろく読んでいるとします。
すると、
だいたい、
そのなかに別の本のことが出てきます。
ちらと、
わずか一行で紹介されていても、
なんとなく気になる。
いま読んでいる本の著者が
その本を、
かつてどんな気持ちで読んだか、
著者をもっと深く知るには、
たった一行しか触れられていないけれど、
読む必要があるのではないか。
いや、
きっとある。
それを読めば、
彼の核心に触れられるかもしれない。
そんなような心持ちになり、
パソコンに向かい、
ポチっと「買う」を押してしまうことに。
いまは買うの簡単ですから。
このようにして、
本はますます増えてしまいます。

・透かし視るいのちの秋やカメレオン  野衾