・隧道の秋洗はるゝ新秋津
仕事の打ち合わせで武蔵野線新秋津駅へ。
打ち合わせ終了後、
装丁家・桂川潤さんの計らいで、
長谷川宏先生宅を訪問。
春風新聞へ連載をお願いし、
その度に、
こころ温まる原稿を頂戴していますが、
お目にかかるのは初めて。
少し緊張してお邪魔したところ、
大水のときに拾ってこられた(?)という亀
(とてもよく動く)もい、
亀さん効果か、
リラックスして談笑。
また、
長谷川先生をとりまくオーラが、
『釈譜詳節』の著者・河瀬幸夫先生とそっくりで、
うれしくありがたく思いました。
桂川さん、写真家の橋本さん、
長谷川先生、
淵の森、柳瀬川、
雲ひとつなく。
ながく記憶に残りそうな一日でした。
・新秋津頬を撫でたり風の秋 野衾
・秋珈琲ンゴロンゴロのタンザニア
きのう、
会社で仕事の打ち合わせをしていたとき、
何気なく、
「ぎったぎた」
という単語をつかっていました。
二度までも。
あとから、
ところで
「ぎったぎた」ってなんだ?
秋田弁?
いや。
秋田でぎったぎたなんて言わないし。
さて。
あきたの「きた」
と
ぎったぎたの「ぎた」の響き合い?
加藤楸邨の
「鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる」
がイメージとして
あったか。
でもそれよりも、
すっかり忘れていたけれど、
やはり石コ賢ちゃんの
『原体剣舞連』(はらたいけんばいれん)
中の、
「胃袋はいてぎったぎた」
を体が覚えていたのでしょう。
物をつくるには、
胃袋を吐くようなことが
何度も起きます。
dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dah
・秋高しおんぶ重たきをんな哉 野衾
・やはらかく土沈みけり山の秋
閒村俊一さんの句集、
『鶴の鬱』『拔辨天』を読む。
いいなあと思った句を
まず『鶴の鬱』から、
○二人目ものつぺらぼうなり土手の雪
(「雪」は、下がヨの真ん中の横棒が貫く旧字体)
『拔辨天』から、
○蘊蓄に溺るゝ秋の蠅二匹
○あまのがはぶちまけられし雜魚(ざこ)の腸(わた)
○炎天の鷄(とり)くびられしまゝ步く
○秋時雨遺稿詩集に正誤表
(遺稿の「遺」のしんにょうは、点ひとつでなくふたつの旧字体)
○稻妻や姉から先にする二階
○蟲の秋深くもならぬ仲のまゝ
○喉鳴らす猫とをんなと夏の風邪
濃密、繊細、
ミステリアスでエロチックな、
こんな楽しい句集は初めて。
旧字旧かな活版印刷が、
句の味をさらに盛り立てているようです。
そんな閒村さんから、
『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
と
今回の『カメレオン』
を
装丁していただきました。
・秋の蚊をつれて息吐く峠かな 野衾
・いずこよりから揚げの香や秋の夕
高校時代、
陸上部の先輩から、
走るときは肛門を締めて走れと教わりました。
そうすると、
腿が高く上がるから。
そのころはまだ素直でしたので、
以来走るときは、
ひたすら肛門を締めながら
走ったものでした。
たとえば、
吠える犬に追われて走るイメージでしょうか。
さてとっくに忘れていましたが、
一昨日、
NHKの「ガッテン!」で、
頻尿尿漏れ残尿感には
膀胱の柔らかさが関係しており、
膀胱を柔らかくするには
校門の、
いや肛門の
開け閉めが肝心であると。
肛門を五秒締めてはゆるめ、五秒締めてはゆるめる。
それを一日二十回ほど。
思い出した。
加賀谷先輩だ!
陸上部のことですけどね。
それはともかく。
肛門の「肛」と「虹」は似ている。
虹はきれいだけどなぁ。
・天高しソーラン節を美智也かな 野衾