血か!?

 

・水よりも水の味する胡瓜かな

朝から尾籠な話で恐縮です。
用を足して
赤い小さな切片を目にすると、
寝ぼけまなこも一気に覚め、
アッと驚く為五郎。
って↑これ、
もう若いひと知らないでしょうね。
ハナ肇の
「アッと驚く為五郎」
それはともかく。
赤い小さな切片は、
血ではなく、
鷹の爪をはじめとするトウガラシであります。
それと分かって学習しても、
しばらく経ち、
寝ぼけまなこで厠に入ると、
会社のエレベーター横のゴキブリよろしく、
何度でも
懲りずに、
アッと驚く為五郎!
なんであります。

・ふたひらの羽とどまりぬ四葩かな  野衾

明月院

 

・紫陽花を愛でて巡るや鎌倉路

北鎌倉にある明月院に行ってきました。
観光スポットであることは知っていましたが、
訪ねるのは初めて。
紫陽花の季節でもあり、
境内は人だらけ。
紫陽花の花々は、
心なしかひとに酔っているような。
まるで野外博物館の様相を呈し、
一列に並び
ちょろちょろ進んでは右や左の紫陽花を鑑賞、
いやはや。
帰りはうすかわ饅頭・かりんと饅頭の
儀平さんでゆっくりお茶。
店のおねえさんいわく、
明月院が混む日には、
駅から院まで行列ができるのだとか。
そこまでではなかったので、
良しとすべきか。

・紫陽花の寺に住まふや磨崖仏  野衾

文の味

 

・ビール干す嗚呼にとなりも同調す

吉川幸次郎さんが師匠の
狩野直喜さんについて書いた文章を読んでいたら、
文学的味覚という言葉がでてきまして、
おもしろいと思いました。
狩野先生は、
若き日の吉川さんに、
文学の極意は、
こまかく読むことそれだけだとおっしゃったそうです。
吉川さんいわく、
先生の学問の方法論は習得できても、
味覚はどうしようもない云々。
とは言い条、
吉川さんもはっきりと
自身の味覚を持っていたのでしょう。
こまかく読んで読んで、
また読んで
それでも味わい尽きぬとなれば、
それは古典、
ということになりそうです。

・白紫陽花道ゆくひとを止めてけり  野衾

歩きスマホ

 

・一杯のビールのために今日がある

若い人が歩きスマホをやっているのを見ると、
危ないなあ
と思う半面、
ちょっとうらやましい気もします。
なぜならば、
わたしは
歩きスマホを、
したくてもできないからです。
たとえば、
天気を知りたくて歩きながらスマホを見ると、
ほどなく
画面がフワ~と暗くなり、
「歩きスマホはやめましょう!」
いいじゃん、
ちょっとだけなんだから。
と思うのですが、
必ず出ます。
「歩きスマホはやめましょう!」
一計を案じ、
そろ~りそろ~りそろ~り。
「歩きスマホはやめましょう!」
ダメか。
ならば。
機械に気づかれぬよう、
そろり、そそろり、そろり、そ、
「歩きスマホはやめましょう!」
バレたか。
ダメだ。
どうやっても歩いていることがバレてしまいます。
立ち止まらざるを得ません。
ん!?
待てよ。
走ったらどうだろう。
走りスマホ!
歩きスマホでなく…。
ダメか。
よけいに危ない!
そもそも、
走りながらスマホの画面見れないじゃん。

・けふもまた喉の音佳しビール干す  野衾

香りの値

 

・夕来りまずとりあえずビール干す

会社では毎日幾種類かのお香を焚いており、
考えようによっては、
おカネを燃やしているようなものですが、
香りは、
いわば精神の食べ物ですから、
ある程度の支出は仕方がありません。
白檀はオーソドックスですが、
晴雨に関係なく、
のびのび落ち着いた気分に浸れます。
沈香、
伽羅となると、
ちょっと深い感じ。
その分、
いいものになると少々高め。
小町の長雨をながめるこの季節、
お香をくゆらしボーとしているだけで脱力できます。

・北辰の赤魚炙るこれで良し  野衾

下北沢といえば

 

・茗荷谷駅まで入るる走り梅雨

新井奥邃の命日が6月16日であることにちなみ、
毎年この時期に記念会が行われますが、
今年はおとといがそうでした。
下北沢駅10時集合、
歩いて森巌寺へ。
キリスト者である奥邃の墓が寺にあることにより、
いろいろと問題が生じていますが、
いまのところはとりあえず
無事。
墓をつくるな
と言った奥邃の墓があること自体、
問題といえば問題で。
墓参ののち、
タウンホールへ。
参加者の自己紹介ののち、
「善読について」と題し
わたしが話しました。
今回、
初めて横須賀薫先生が参加。
横須賀先生は、
宮城教育大学で教員をしておられたころ、
林竹二学長といっしょに仕事をされた方です。
学長から
奥邃のことを聞いていたそうですが、
当時は興味がなかったのだとか。
4時前に散会。
さて下北沢といえば、
スープカレーのマジックスパイス。
年に一度のたのしみ。
記念会もいいけれどスープカレーもね。
というわけで、
橋本さん、家人、わたしの三人でマジックスパイスへ。
タイのシンハビールで喉をうるおし、
チキンスープカレーを堪能。
辛さ7段階。
わたし極楽、家人涅槃、橋本瞑想、
完食満足来年再見!

・五月雨や民謡弾きて走りゆく  野衾

ゴキブリ!?

 

・へた取りて青を裏切るなすびかな

梅雨に入りまして、
なんだかボーとしながら出社しますと、
エレベーター横に、
あ!
ゴキブリ!?
ん?
じゃなかった。
ふ~。
もう分かっているはずなのに、
学習しない
というかなんというか、
この一連の動作をたびたび繰り返し、
その都度驚きます。
我ながら
馬鹿だなあと思う半面、
目が覚めシャキーンとしますから、
目覚めのしるしともなっています。

・裏の畑(はた)照りかがくや茄子の紺  野衾