文の味

 

・ビール干す嗚呼にとなりも同調す

吉川幸次郎さんが師匠の
狩野直喜さんについて書いた文章を読んでいたら、
文学的味覚という言葉がでてきまして、
おもしろいと思いました。
狩野先生は、
若き日の吉川さんに、
文学の極意は、
こまかく読むことそれだけだとおっしゃったそうです。
吉川さんいわく、
先生の学問の方法論は習得できても、
味覚はどうしようもない云々。
とは言い条、
吉川さんもはっきりと
自身の味覚を持っていたのでしょう。
こまかく読んで読んで、
また読んで
それでも味わい尽きぬとなれば、
それは古典、
ということになりそうです。

・白紫陽花道ゆくひとを止めてけり  野衾