森田療法で有名な森田正馬(もりた しょうま 1874-1938)さんの本を、
ときに応じて親しんできましたが、
『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』
の著者である帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)さんが
森田さんにかんする本も書いていらっしゃいますので、
こちらも読んでみました。
悩みと無用な心配は、身体を休めてじっとしている間に、背後からとりつきます。
休めば休むほど、背後霊のように、悪魔の手がつかみかかるのです。
もし、ある心配が、
心配によって少しでも解決に向かえば、どんどん心配したほうがいいでしょう。
事実は逆で、何の成果もありません。
心配は損どころか、脳を傷めて大損をしているのです。
悩みや心配は、
五分以上頭のなかでひねくりまわしてはいけません。
五分たったら、身体を動かし、
何でもいいですから、手を出すのが一番です。
身を忙しくしていると、
脳はもう悩みません。
忙しくしている目前の事柄に注意を向けなければならないので、
脳は忙しくなり、悩んでおられなくなります。
(帚木蓬生[著]『生きる力 森田正馬の15の提言』朝日新聞出版、
2013年、pp.45-46)
森田正馬さんは、自身の生い立ちから「神経質」を取り上げ、論じ、
研究された方ですが、
神経質を、病気ではなく、
ふつうのこととしてあつかえば治る、
と喝破したところに大いなる希望があると思います。
ちなみにわたしのふるさと秋田では、
神経質のことを「しんけたがれ」といいます。
・せせらぎの遥か彼方を残る雪 野衾