坂本畳店

 

自宅へも会社へも、このごろは営業の電話がかかってくることがあります。
数年前から、そうですね、
年に一、二度、
「○○畳店と申します。畳替え、いかがでしょうか」
と、女性の声で、
電話がかかってくることがありました。
そのつど、
「今のところ考えていません」と応えてきました。
ほかの営業の電話と違うのは、
断りの返答をすると、
すぐに、
「そうですか。それでは、機会がございましたら、おねがいします」
スッと、女性はことばを引きました。
その引き際が爽やかで、印象にのこっていました。
さて、
わたしが住まいする家には、六畳の和室があり、
ここに住むようになって以来ですから、二十八年が経過しており、
年々、畳表が赤茶け、畳の目が波打ち、果ては破れ目が生じるようになりました。
破れ目がこれ以上広がらぬよう、ネットで検索し、
破れたところに、修理用のシールを貼ってごまかしたり。
ところが、
やはり気になっていたのか、
和室が歪み、崩壊していく夢を幾度か見るようになりました。
これはいけない!
なんとかしなければ…。
たまに電話がかかってくるあの畳店、なんていう名前だったかなぁ?
控えておけばよかったなぁ。
と思っていた矢先に、
な、なんと、
電話がかかってきた!
「坂本畳店と申します。畳替え、いかがでしょうか」
そうか。坂本畳店。
そうだそうだ。
電話をかけてきた女性に、料金、修理の時間等いくつか質問し、電話を切った後、
家人と相談して、畳を替えることにし、
改めて坂本畳店に電話をし、
見積もりをお願いした。
その日の夕刻、畳店の方が来られ、
こちらの質問にていねいに答えてくれました。
修理の日にちを決め、帰っていった。
驚いたのは、畳替えは、
朝、寸法を測りに来て、その日の夕刻には新しい畳が持ち込まれるということ。
結果、新しい畳が設置され、きょうで四日目。
満足花マル二重マル。
きょうも、すがすがしく朝を迎えました。
すがすがしいといえば、
営業で電話をかけてきたNさん、見積もりに来たKさん、
実際に畳替えの作業をしてくれたYさん、
三人とも実に清々しく、
こちらの質問にこたえ、ていねいに、わかりやすく説明してくれました。
畳替えの作業を終えたYさんに、
たまに営業でかかってきた電話での話しぶりから始め、
見積もりのKさん、
実際の仕事をしてくれたYさんへの感謝と感想を伝えると、
Yさんはだまって、耳を傾けるように、わたしの話を聞いてくれました。
その姿が、印象にのこっています。
坂本畳店、
ホームページを見ました。
きめ細かく、見やすく行き届いた、いいホームページです。

 

・読初の書を閉づ一杯の珈琲  野衾