エキュメニズム

 

エキュメニズムは純粋な改革行動主義以上のものである。
エキュメニズムは全教会が新しく一つのキリスト教の伝統に、
すなわち、
イエス・キリスト自身の福音に集中する時にのみ
見出され実現されるものである。
その視点からのみ、
教派的な不安や不確かさが解体され、
イデオロギー的熱狂主義やルサンチマンを背負った限界は克服され、
神学的相違の背後に隠された特定の社会、階層、民族、文化文明、
および国家と結びついた経済的、政治的、および文化的もつれが解きほぐされ、
新しい自由へ向けて超越していくことが可能となる。
(ハンス・キュンク[著]/福田誠二[訳]『キリスト教 本質と歴史』
教文館、2020年、pp.876-877)

 

学校の世界史でキリスト教について習ったとき、
たとえば十字軍、宗教戦争、魔女裁判、
魂を救い、平和をもたらすはずの宗教が一体どういうことなんだ
と不思議でしたが、
年代を覚えたり、固有名詞を暗記したりして、
深く考えることをしなかった。
ハンス・キュンクの本を読みながら、
そのことを思い出しました。
こういうこころざしの高い本を読むと、胸がスッキリします。
キュンクさんは一九二八年生まれですから、
現在九十三歳。
訳者の福田誠二さんによれば、
日本語訳を出したい旨をキュンクさんに告げたとき、
とても喜ばれたそうですが、
そのとき、
じぶんが生きているうちに出してほしいと言われたのだとか。
原著者のその願いにこたえて、
この本が日本の読者に届けられたことになります。

 

・遠足の河原早日の翳りゆく  野衾