花粉の季節

 

・立ち去りし白き女人や風光る

 

二月は今日で終わり。
天気予報を見ると、
きょうあたりからぐんぐん気温が上昇しそうです。
そろそろ寒さに飽きてきましたから、
願ったりですが、
同時に、
花粉の量も一気に上昇すると、
予報士が警告を発しています。
わたしはまだ発症していませんが、
鼻ぐずぐず目は痒そうでなんともつらそう。
風邪対策から花粉対策へ。
マスクを手放せません。

 

・やわらかく水面光るや春の里  野衾

 

夢の話――増殖する部屋

 

・コーヒーをふたつ並べる春の宵

 

わたしが住んでいるボロアパートに畏友の上田さんが遊びに来ました。
ボロアポートながら、
部屋は三つありますから、
上田さんにゆっくり泊まってもらうことができます。
少し近況を聞き、
上田さんにと思った部屋を確認しに行くと、
その奥にもう一つ部屋があることに気が付きました。
どうして今まで気が付かなかったろう。
薄暗い座敷牢のような部屋。
こわごわ入ってみると、
さらにその奥に板張りの部屋があって、
黒光りする大小の仏像が所狭しと置かれています。
後ろからついてきた上田さんが、
へ~、
と驚いています。
仏像のある部屋の隣は、
カントリー&ウェスタンのバーになっていて、
そのレコードの多さには舌を巻きます。
カントリー&ウェスタンといえば、
上田さんの得意とするところ、
彼に即興で演奏するよう促すと、
まんざらでもなくすぐにギターを取り上げ演奏が始まりました。
やんややんやの大喝采。
演奏が終わってバーを抜けると、
そこは広々とした遊園地。
ジェットコースターもあればモンスターもいて。
部屋がつぎつぎ生まれ、
現れ、
性質を変え、
増殖はまだ止まぬようです。

 

・恥ずかしきこころに似たり光る風  野衾

 

文学は

 

・水温む忙(せわ)しなき銀行員の手

 

このごろ人文系の学部への風あたりがつよく、
とくに文学部に所属する先生方は、
さぞ肩身の狭い思いをしているのではと
想像されますが、
日本のカリスマ的な精神科医である
中井久夫さんの本を読むと、
彼の人間を見るまなざしに、
文学作品がいかにかかわっているかを知り、
医療現場においても、
トータルな深い人間理解が欠かせない
ことに改めて気づかされます。
それぞれの現場で
実体験からの人間理解は
基本かもしれませんが、
古今東西の文学作品に触れていることは、
いつか補助線となって、
思わぬところで
役に立つかもしれません。
また、
役に立たなくたっていいとも思います。

 

・春泥に歩(ほ)を踏み入るる農夫かな  野衾

 

希望の処方

 

・自転車であの娘を抜かす春の路

 

精神科医の中井久夫さんがもっとも大事にしていることは、
患者さんに希望を処方することだと
本に出ていました。
精神科のお医者さんだからと言って
済ませられるでしょうか。
中井さんは、
患者さんに処方する薬は
自分でも服用してみ、
学会で心ここにあらずの若い研究者
(精神科の医者には自殺する人が多いのだとか)
がいれば、
そっと隣に座ってなにか話をしたりだとか。
そういうお医者さんが日本にいる
ということが、
希望です。

 

・春風や自転車駆ってパンパデイ  野衾

 

ミスコン?

 

・さくら見に宿予約して角館

 

ミス・ユニバース、ミス・ワールド、ミス・インターナショナル、
国内を見れば、
ミスの後に大学名・都道府県名を付けたり、
世にミスの付く競技は華やかなわけで、
ミスといえばまず
ミス・コンテスト、美人コンクールが脳裏をかすめるクセがありまして…。
昨日、
新聞を開いたら「ミス」の文字。
(なんだ?
大きな文字で「ミスつかれ」
変わったミスコンだなぁ。
「ミスつかれ」ってなんだよ。
疲れているのにそれが顔に出ない美人てこと?
そんなひと、いる?
いやいや、そんなミスコンあるわけない)
いま(  )で示したところは、
わずか1秒にも満たない
電光石火の思考のめぐりでありまして、
すぐに下の文字が目に入り、
思考の虚を突かれました。
すなわち、
「ミスつかれ 痛い1敗」
オリンピック、カーリング男子日本に関する記事の見出し。
「ミスをつかれ 痛い1敗」
だったら間違えなかったのに…。
大きなミスでありました。

 

・四次元の北上に咲く桜かな  野衾

 

天使たち

 

・土ゆるみ黒き面より蕗の薹

 

弊社が入っている横浜市教育会館に保育園ができ、
子どもたちの賑わう声を
たびたび耳にするようになりました。
昨日、
出社の折でした、
保育園前で子どもたちが二列に勢ぞろい。
男性の保育士が前で何やら話をしていました。
列の後ろには女性の保育士。
おもしろそうなので
そっと近づくと、
雀のようなる子どもたちが一斉に私のほうに向き、
おはよう! おはようございます! おはよう! なんていうの? なまえは? おはよう!
ねずみ花火がつぎつぎはじけるようです。
「みうら、っていいます」
と答えると、
「何みうら?」
「え。何みうらって言われてもなぁ。みうらはみうらで…。みうらまもるっていいます」
「ふ~ん。みうらまもる?」
「そう。みうらまもる」
みうらまもる。みうらまもる。みうらまもる。みうらまもる。
「ありがとう」
バイバイ! バイバイ! どこいくの? また来て! ばいばい!
「ばいばい」
保育士の二人にお礼を言って、
その場を離れました。
顔がほてって、
いい一日の始まりです。

 

・鶯やたわめる枝の重さかな  野衾

 

『石巻片影』パネル展示 本と大地

 

・取り壊す跡に春立つ古屋かな

 

銀座の教文館さんにて
本日より来月14日(水)まで
「『石巻片影』パネル展示 本と大地」が開催されています。
震災後の石巻を写真家・橋本照嵩さんが撮影した
圧巻の写真十点が大判で展示されています。
同時に弊社の哲学・思想・宗教書のフェアも。
3月11日(日)15時~16時は、
わたしのギャラリートークがございます。
広告塔としては、
弊社本づくりの特徴の一端をお示しできればと願っています。
お聴きになりたい方は、
電話にて事前にご予約をお願いします。
電話:03-3561-8448

 

・通帳の残を数ふる春の夕  野衾

 

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