二十五年ぶり

 

 雨あがる階段横の虫鳴けり

昨日の朝のことです。
プルーストの『失われた時を求めて』が、
ふと気になり、
ネットで検索したら、
今月から新訳が出始めたそうで、
ちょっと驚きました。
気になった理由が判然としないからです。
以前、高校に勤めていた頃、
新潮社から出ていた化粧箱入りの白い美しい本を眺め、
手にとり、ページを開く度に、
これぞ文学!という香気が立ち上がってくるようで、
高価なものでしたがセットで買い、
日曜日の午前中だけそれを読む時間にあて、
一年三ヶ月かけて読み終えました。
あれから二十五年経ちます。
東戸塚にある有隣堂本部へ伺った帰り、
有隣堂横浜駅西口ルミネ店に寄り、
光文社古典新訳文庫から出たばかりの
高遠弘美訳『失われた時を求めて』①
第一篇「スワン家のほうへⅠ」をさっそく購入しました。
数年かけ全十四巻になる予定だそうです。
歌が、それが流行っていた頃の気分を
なつかしく、
また切なく思い出させてくれるように、
本も、それを読んでいた時のことを豊かに
思い出させてくれます。
失われた時を求めて『失われた時を求めて』を読む、
って、
なんだか本のコピーみたいですが、
どんな読書の体験が待っているのかわくわくします。

 蜘蛛がいて一雨1℃秋となり

100710_1452~0002