花見

 

・花を見に知らねば読めぬ掃部山

「桜が咲いております。懐かしい葛飾の桜が今年も咲いております。
思い起こせば二十年前、つまらねぇことでおやじと大喧嘩。
頭を血の出るほどぶん殴られて、そのままプイッと家(うち)をおん出て
もう一生帰らねぇ覚悟でおりましたものの、
花の咲く頃になると決まって思い出すのは故郷のこと……。
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今こうして江戸川の土手に立って生まれ故郷を眺めておりますと、
何やらこの胸の奥がぽっぽと火照ってくるような気がいたします。
そうです。わたくしの故郷と申しますのは、東京、葛飾の柴又でございます」
ちゃ~、ちゃららららららら~
ちゃらら~らら~ららららら~
というわけで、
花の咲く頃になりますと、
わたしが決まって思い出すのは『男はつらいよ』
であります。
山田洋次監督は、
この一作に賭けたらしく、
好評につきシリーズ四十八作までいくとは、
よもや思わなかったようで。
満開の桜が一転、
はらはらと花びらが舞い散る姿に、
さまざまの思いを重ねてしまうのは、
寅さんに限らぬことで、
むしろ寅さんは、
皆のこころを代弁してくれているのでしょう。

橋本照嵩『石巻かほく』紙上写真展
の七回目が掲載されました。
コチラです。

・水溜まりブルーシートに桜かな  野衾