タモリ学

 

・読初やまた読む源氏物語

いつも会っていると、
ありがたみが薄れふつうになっていくように、
いつもテレビで見ていると、
出始めの頃の衝撃力を忘れてしまいがち。
ではありますが、
タモリをテレビで初めて見たときは、
なにこれ!?
でした。
イグアナのマネもよかったけれど、
いそうで、
いなさそうで、
いそうな中洲産業大学教授が好きでした。
さて戸部田誠の『タモリ学』(イースト・プレス)
は、
タモリらしい発言がちりばめられており、
正月たのしく読みました。
この手の本はたいがい
本人や関係者に取材しての
裏話的な内容がウリになりますが、
この本はそうではない。
「あとがき」にこうあります。
「僕が本書で書きたかったのは「僕のタモリ論」ではありません。
凡庸な僕の考えなんてどうでもいい。そうではなく、
これまでのテレビ、ラジオ、書籍、インタビューなどの発言やエピソードを抽出し、
タモリさんの“哲学”を浮かび上がらせることがしたかったのです」
そのスタンスに好感が持てました。
タモリが中学生時代、
教会に通っていたというエピソードには笑わされました。
毎日毎日教会に通い、
台風の日も教会を訪れた。
すると牧師が、
「今日ココニ集マッタカタガタコソ信仰深イカタデス」
と言い、
タモリに「アナタハ敬虔ナ人デス」と熱心に洗礼を勧めたという。
なんでタモリが熱心と思えるほどに教会に通ったか。
それはただ単に、
「牧師の口調が面白かった」から。
日本人が日常的にあまり使わない「アマツサエ」「ナカンズク」
などの単語を織り交ぜての片言の日本語が可笑しかったらしい。
タモリの面目躍如といったところか。

・山も田も白一色の淑気かな  野衾