同行二神

 

憂鬱なる日
この感情をいかに名づけん
「ストレスにかかったネズミ」
はたまた我は
気鬱片片、落胆悶悶
消沈枯渇、陰陰滅滅
落魄悲観、情欲悲願
欺瞞散漫
女、女、オンナ
筋金入りの好色漢

熱を帯びたる朔太郎、恋魚淫魚の哀しさ一夜
手痛

停滞
彽徊徘徊、徘徊老人
悔恨変色、眩暈不安
不満恐怖、疲弊憔悴
予兆や延延と鳴り渡る

いくつの慰哀字連ねても
名づけ得ぬもの在り
名づけ得ぬ
ゆえ
抜けられぬのか
ラスコーの壁画や哀し
情調の波に揺れ
影は揺れ
影ひびく
木々の葉裏白く輝き
光《ひかり》大波
未見戦慄、同行二神

ともにいませよ
名づけ得ぬもの
名づけ得ぬ今の
いま
名づけ得ぬゆえ
生きてゆくのさ
生死の境を生きてゆく
我はまた神なのだ
誇り高き神ゆえに
キ、チ、ガ、イ、じ、み、た、り
いま感情の涯
大感情の空を
航《わた》ってゆく
同行二神
航る
航る
ほがらの空を
孤独の家郷、寂寞の野へ