紅葉山

 

・陸奥の山を突き抜け紅葉狩

姪っ子の結婚式がこの時期であったおかげで、
車中より存分に紅葉を堪能できました。
いつもなら、
本に目を落としていることが多いのですが、
ついつい顔を上げ、
窓外に目をやります。
小川が流れ川沿いの紅葉が光っています。
人家はなく。
色。
色。
再現不能の。
目だって本当に見ているのかいないのか。
目の裏でなら見るのか。
分かりません。
たとえば黄。
あの黄色。
だれが色を真似できるでしょう。
想念は早どこへやら。
次に来る想念はなぜか『寅次郎忘れな草』
「兄さんなんかそんなことないかな。夜汽車に乗ってさ、外見てるだろ、
そうすっと、……」とリリー演じる浅丘ルリ子。
「こんなちっちゃな灯りが、こう、遠くの方へスーッと
遠ざかっていってなぁ…」と寅さんこと渥美清。
旅情という言葉からの連想で言えば、
このシーンをすぐに思い出します。

・児らのこゑ寂しき里の紅葉かな  野衾