西脇さん

 

・一行の詩を考えて秋酣

このごろは西脇順三郎の詩と詩論、エッセイ、
評伝やら西脇論まで含め、
西脇さんのものばかり読んでいます。
ポポイポポイと草木もなびく模様。
変ったところでは、
『西脇順三郎全詩引喩集成』これ凄い!
西脇さんがつくった詩に古今東西のどんな言葉が引かれ、
また一見そうと知れない字句が、
いかに自家薬籠中のものとなり、
西脇さんの詩に反映しているかを
細部にわたり
丹念に調べ上げたもの。
これなど、
遅ればせに詩を勉強したく思っている
わたしなどにとりまして、
替えがたく面白く感じられ
興奮しました。
西脇さん以外にも
こういうものがあると役に立つと思うのですが。
外国には割りとあるようです。
詩は感性で書く、
とばかりも言えなそうで。
というわけで、
ちょっとした西脇フリーク。
西脇さんは、
芭蕉にも興味を持っていたようですが、
西脇さんて、
外国へ旅した芭蕉みたい、
だんだんそんなふうにも思えてきます。
芭蕉がヨーロッパへ旅していたら、
なんて考えてると
楽しくなってきます。
奥の細道ならぬパリの細道とか。
こうなると、
エズラ・パウンド、T. S. エリオット、ジョイス、イェイツ
までのラインが近く太く
見えてき、
どんどん広がっていきそうな気配。
遅れてきた青年の個体発生は系統発生を地で行き、
せっかくだから初源の受精卵まで。
いや父母未生以前まで。欲張りか。
季節は秋。
さあ読むぞ!

・実ありて鐘鳴らずとも柿は食う  野衾