なにとはなく

 

・出てみれば匂ひ秋風眩しかり

わたしはいま五十六歳なので、
初老ということかもしれず、
十一月で早五十七歳になります。
他人事のようですが、
他人事でなし。
この間、
何を覚えたかというと、
酒を飲んでも二日酔いにならぬよう、
その手前のところでストップするようになったこと。
これが大きい。一番。
酒を飲んだ翌朝の二日酔いでない状態は、
それはきょうで、
しばらく呆として窓の外を眺めたり、
痒みを思い出しては
顔を撫でたりしている。
ああ俺はこうして年をとってゆく。
机の下の小さな本棚に並べてある本の並びが気になって、
なにともなく並べ替えてみる。
これでよし!
男宇宙。
男鬱中?
ねぇ あんた

・天高し雅楽の音は象に似て  野衾