横浜高島屋

 

・かはたれを五七五の五月かな

O先生と二時に横浜高島屋で待ち合わせ。
O先生との打ち合わせはここが多い。
正面入口を入ったところは、
外の様子がよく見え、
ここならという場所に手荷物を下ろした。
店内をゆっくり眺めていると、
あることに気がついた。
時間帯のせいもあるのか、
若い人がいないことはないけれど、
圧倒的にお年寄りが多い。
入口近くの椅子も、
店内を行き交う人も。
居心地がいいのかもしれない…。
やがて先生がいらっしゃって、
エスカレーターで三階へ。
喫茶室は満員で外に並べた椅子も満席に近い。
六階へ。
エスカレーターを降りたら、
制服を着た店員さんがいたので、
「資生堂パーラーはどちらですか?」
と声をかけた。
笑顔で「こちらです」
と、
間髪入れずに道案内に立ってくれた。
ちょっと意外な気がした。
その場で方向だけを示されるかと思ったから。
コーナーを曲がった所の喫茶室も外に人が溢れている。
歩きながら、
制服姿の彼女に、
「お仕事中、すみません」と言うと、
「いえ。どういたしまして」
ほどなく資生堂パーラーの飾りが見えた。
「こちらです。待っているお客さんがいますね。
少々お待ちいただくことになるかもしれません」
「ありがとうございました」
「いえ。どういたしまして」
居心地のよさの理由が分かる気がした。

・詩篇あり後頭からの旅路なり  野衾