読む順番

 

・昏き夜を酔い心地して街の珈琲

たとえばひと月に十冊の本を読むとすると、
一年では百二十冊。
これを十年続けると千二百冊。
さてそこで、
ある人が自分の興味にしたがって
千二百冊読んだとします。
それと全く同じ順番で読む人がいるだろうか、
ふと思いました。
読む順番に個性が現れる
とでもいいましょうか。
こちらが本を選んでいるようで、
実は、
本がこちらを選んでいる、
そんなこともあるのじゃないか。
またその大元は…。
リニューアル成った今回の「春風新聞」で、
佐々木幹郎さんは、
木戸敏郎さんの『若き古代』について
エッセイを書いてくださいました。
導かれるようにして今それを読みながら、
その本が、
現在進行中の仕事
『西田哲学から聖霊神学へ』と、
びんびんと響き合う気がして圧倒されます。
大げさにいえば、
今これを読むことの奇跡に打たれます。
人間は方位のなかに組み込まれ、
時間の概念と空間の概念が重複した「間」に身を置いている、
ことを
木戸さんの本を読んで再確認しました。
わたしたちは、
宙に浮いて生きることはできない。
また、宙に浮いて生かされることはない。
『若き古代』には、
「日本文化再発見試論」のサブタイトルが付いています。

・岐路に立つ此処が思案の五月かな  野衾