朝の声

 

・初雪を告げて明るき父の声

だんだん朝が早くなり、
このごろは
三時に起きだすことも珍しくないのですが、
これぐらいの寒さなら、
きりりと寒くて気持ちいい

やせ我慢でなく言い切れます。
この日記を書き、
終えたら
サイフォンでコーヒーを淹れ、
コーヒーカップを
本棚下から三段目
向かって左端の隅に置き、
それから
腰に毛布を巻き
アームチェアにでんと胡坐をかいて本を読む。
五時。
空気の音まで聴こえてきそう。
六時。
不意にちょっと目を上げ。
家人そろそろ起きてくるかな。
七時。
トイレに用足しに。
戻ってふたたび腰に毛布を巻き
アームチェ…
「いってきまーす!」
タタタタタタタタ……
何年生でしょうか。
少年の姿を見たことがありません。
窓の外から声だけが聞こえ。
なんとも元気がいい。
「いってきまーす!」
を言ってから、
下り坂を必ず走って下りていく。
タタタタタタタタ……
路にリベットを打ち込むように。
タタタタタタタタ……
寸分の狂いもなし。
今日も一日が始まります。

・朝三時蓑虫のごと読書かな  野衾