特性のない男

 

・年めぐり父がバチ持つ盆踊り

朝の読書は、
泉鏡花にひと区切りをつけ、
しばし日本を離れて、
まだ見ぬオーストリアに飛ぶことにします。
アームチェアはまさに魔法の絨毯!
どこへだって思いのまま。
ロベルト・ムージル
(ローベルト・ムジールと表記することも)
の『特性のない男』(新潮社 全六巻)を、
初めて読んだのは
教師を辞めてすぐのころでしたから、
今から二十五年ほど前。
長田弘さんの『読書百遍』で紹介されており、
長田さんは詩人ですが、
本の紹介がべらぼうにうまく、
長田さんが紹介している本は
どれも読みたくなりますから、
おカネのないときでもありましたので、
わたしにしてはめずらしく
図書館を利用し、
叩くと白壁が剥がれるボロアパートの一室で
読んだのが最初でした。
さて今回。
まだ始まったばかりですが、
これほどことばを尽くして書いているのに、
ムージルさん、
性に関しては非常に抑制を利かしている。
書いてないということは、
時に、
書かれている以上にわくわくし、
ドキドキします。
永井荷風の『腕くらべ』しかり。
これからしばらくは、
二十世紀前半オーストリアを旅することになります。

・しゅるしゅるとクチナワ空に花火かな  野衾