ゆがみの必要

 虚実というものは、歪みであり不調和ではあるけれど、計量された、何らかの正常値に比しての異常を意味するものではない。この点が、正常・異常を計量することによってなされる、西洋医学の病名診断と異なる点である。経絡の虚実は、その患者が、他の大勢の人々に比べて歪みがあるかどうかを判断するのではなく、計量することのできない宇宙の気に比して、実(過剰)であるか虚(不足)しているかを診断するものなのである。
 また、病気は虚実という歪みが深くなり、かつ固定的になることで起こるが、虚実がそのままイコール病気なのではない。個体が生命を営むためには、陰陽という対立が必要であるように、生命の営みにとっては、虚実という歪みが生じることが必要なのである。(遠藤喨及『タオ、気のからだを癒す』)

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