千成のかっちゃん

「千成です」
「ああ、かっちゃん。どうしたの。今日、医者に行く日じゃなかったの」
「行くの、よしたんだ。なにやってるの」
「なにやってるのって、仕事してるんだよ。いま、どこにいるの。あ、そうなんだ。だったらいっしょに食事でもしようよ、12時過ぎたし。教育会館に向かってよ。いま、下りていくからさ」
 ということで、散歩がてら桜木町まで来たという千成のかっちゃんとママさんと連れ立ち、野毛坂を下る。いつもこんな遠くまで歩いているの。なに言ってんの、こんなの近いほうだよ。伊勢佐木町や馬車道まで歩くこともあるもの、なんて会話を交わしながら、目的の店へ。福家にて柳川鍋をつつく。かっちゃん、容器を見てさかんに、なつかしいなあ、なつかしいなあ。わたしと武家屋敷が同行したのだが、そんなつもりはなかったのに、すっかりご馳走になってしまった。
 野毛の坂を上り、ふたたび教育会館へ。せっかくなので会社を見てもらいお茶を一服、伊勢山皇大神宮の裏参道まで案内し、そこで別れた。階段を上っていく仲の良いふたりを見、羨ましいかぎり。

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