散蓮華

 

・古書取りてはらり頁の風薫る

ちりれんげ、と読みます。
読むそうです。
略して、れんげ。
にわか仕込みの知識ですが。
ラーメンを食べるときに供される陶器製のスプーンで、
なぜ散蓮華と呼ぶかというと、
蓮の花の散った一枚の花びらに見立て、
そう呼ぶようになったのだとか。
いわれてみれば、
たしかに似ています。
散蓮華。
音も五音。
ちりれんげ。いい感じ。
ところで、
刻みの入ったものもありますが、
あの切り欠きが施されている散蓮華は、
だれが考案したのでしょう。
実に巧い工夫です。
あれがないと、
スルスルボチャン。
せっかく拭いて、
どんぶりの縁に静かに置いたのに、
またスルスルボチャン。
茶碗の湯舟に浸かっている目玉おやじが、
お尻すべってボチャンとなる、
その姿をつい連想してしまいます。

・薫風や尾根を渡りてこの地まで  野衾