ほどほど

 エライ人がそう言ったからとか、信頼している人に言われたからという理由から、本当には納得できていないのに、軽い気持ちでやってみる。また、腑に落ちたと納得したのに、なんやかやと理由をつけて継続することができない。ほどほどということを、わたしは上の二つことを別の言葉で言い換えたものに過ぎない気がして、なるべく避けてきた。
 いくらエライ人に言われても、納得できないことはしない。納得できたことは、雨が降ろうが槍が降ろうがやりつづける。これを称してひとは頑固と呼ぶ。要するに、わたしは頑固なのだ。「ほどほど」を「いいかげん」の置き換えぐらいに思ってきた。ところがこのごろ「ほどほど」って大事だなあとつくづく思うのだ。納得しようがしまいが、そんなことあまり関係ない気がしてきた。自分のちっぽけな納得などどれほどのものか。「ほどほど」が「いいかげん」と同義でもいいではないかとも思う。「いいかげん」は「いい湯加減」などとつかわれることからしても、「良い加減」なのだろうし。ほどほどで行こうと思う。