警察に捕まる

 

・蔵王の峰の土も香るや秋日和

『ファーブル昆虫記』を読んでいて、
一瞬「え!?」となりました。
ファーブルさん、
ある日、
砂の上に腹ばいになり、
ハナダカバチの観察に心を奪われていたら、
「警察の者だ。俺と一緒に来るんだ」
と鋭く声をかけられたそうです。
山林を監視する巡査で、
夏の盛りに
外でぼーっとしているファーブルさんを
不審者だとでも勘違いしたのでしょう。
立派な大人は、
虫になど心を奪われません。
結局、
「俺は君から眼を離さんからな」
と捨てぜりふを吐き
巡査は去っていきました。
どうも、
ファーブルさんが襟につけていた
レジョン・ド・ヌール勲章の
赤いリボンが功を奏したようです。
大人は勲章に弱い。

・業終へて階段つるべ落としかな  野衾