ファーブル昆虫記

 

・山ふたり別れてまたも山ふたり

電車内で読む本というのを決めていて、
それを他では読みません。
先日『オデュッセイア』が終りましたので、
つぎは『ファーブル昆虫記』。
小学生以来ですから、
四十数年ぶりの再読ということになります。
小学生のときは、
もちろん子ども向けの本で読みました。
学校で習う教科書以外に
たったひとつ、
図書室から借りて読んだのがこの本でした。
どこの出版社の本だったのか、
そんなことは眼中にありませんでしたから、
まったく覚えていません。
子どもは、
とくに男の子は昆虫が大好きです。
いまもきっとそうでしょう。
ファーブルは、
けして生活にめぐまれていたわけではありませんが、
九十二歳で亡くなるまで
好きな昆虫の世界に遊ぶことができたのですから、
すばらしい人生だったといえるでしょう。
ふたたびこの世に生まれ変わっても
昆虫の研究に没頭したいと言っていたそうです。
それだけ昆虫の世界が
汲めども尽きぬ魅力があったということでしょう。
進化論のダーウィンが
ファーブルの研究を褒め称え、
手紙まで送っていたとは知りませんでした。
またダーウィンのおじいさんも博物学者で、
哲学者で、詩人だったそうです。
おじいさんから孫へと伝えられ、
進化論も進化したのでしょうか。
ともかく、
やっと涼しくなりましたから、
虫の声に耳を澄ませながら、
ファーブルと昆虫記の世界に浸りたいと思います。

・空ちかく行きし蔵王の秋の風  野衾