予定変更

 

 明日もある得した気分の閏年

休日、床屋で散髪してもらい、
朝、風呂でていねいに髭を剃り、
箪笥の中からおもむろに
勝負スーツを取り出し腕を差して鏡に向かう。
よし。
靴箱から磨いておいた革靴を。
よし。
東向きの窓に鍵を掛けた。
よし。
エアコン切った。
よし。
ガスの栓締めた。
よし。
いざ、出陣。
玄関のドアを閉め、回れー右っ!
心なしか、いつもより歩幅が大きいか。
気合い充分。
乗る電車の発車時刻の二十分も前に保土ヶ谷駅着。
気合い充分すぎ。
と、
ケータイ電話に着信音。
イシバシからだ。
聞けば、向こう様がインフルエンザで倒れ、
面談延期の知らせであった。
しばし呆然。
何事もなかったかのように、
予定した電車に乗り、
サン=テグジュペリの『人間の土地』
(堀口大學訳)を読み始める。
横浜駅で下車。
予定を変更し、
いつものように京浜東北線下り電車に乗り換えた。

 鎌倉の梅を知らせる駅ポスター