おらだば

 

 ひぐらしや内と外との境なし

秋田の父から電話。
「さぎがげさ載ってらどー。
んだども、おらだば、読んでもなんだがさっぱり分がらね」
(秋田魁新報にお前の文章が載っているよ。
だけれど、俺には、読んでも何のことやらさっぱり分からない)
父にしてみれば、
息子の書いた文章を理解できないというのは、
残念なことなのでしょう。
それと、
もっと分かるように書けとの批判も篭っているようです。
言いたいことを、
父にも分かるように書ければ一番なのですが、
修業が足りず、そこまで行っていません。
かつて大学でマルクスを読んでいた頃、
父にぴしゃりと言われたことがありました。
「田植えのふとち(ひとつ)もでぎにゃくせに」
くせに。
悔しくても、返す言葉がありませんでした。
田植えのひとつもできませんでしたから。
父の言葉は思考のヤスリです。

 団扇もて膝株の蝿追ひ立てり