無駄物買い 2

 

 マフラーを忘れ空気が棘と刺す

天体望遠鏡の次に無駄だったなあと思い出すのは、
リンガフォンの英語教材。
Q.B.B.風に言うなら「一生で一番ダサイ季節」の
中学時代だったと思います。
カセットテープ十本ぐらいとテキストが数冊、
値段は忘れてしまいましたが、
相当高かった気がします。
これでおいらも英語がペラペ~ラと話せるのか~、
金髪のおねーさんとも恥ずかしがらずに会話を楽しめるのか~、
なんて妄想しました。
周りに金髪のおねーさんなどいるはずもなく、
バリバリ黒髪の女生徒ばかりだったのに。
それはともかく、
カセットテープ十本のうち、
最初の一本ぐらいはやったんでしたかね。
覚えているのは、
税関で質問されるという
「ドゥー・ユー・ハヴ・エニシング・トゥ・ディクレア」
ぐらいです。
それをアメリカ人が言うと、
「ドゥー・ユー・ハヴ・エニシング・トゥ・ディクレア」
とは聞こえず、
「ドゥー・ユー・ハバニシングタディクレア」
と聞こえる。
だから、それを一生懸命覚えましたが、
外国旅行に行ったのは大学を出てだいぶ経ってから、
税関でもそんなこと訊かれませんでした。
ちゃんと最後まで勉強していれば、
何か一つぐらい役に立つことがあったかもしれませんが、
だいたいわたしは語学のセンスがなく、
結局途中で、
リンガフォンの英語教材を投げ出してしまいました。
語学のセンスがないことに気づくまでには、
もうしばらく要しましたけれど…。

 寒空に見とれ首筋違えけり

201101091025