一冊一冊
会社創業の年に始め、翌2000年に第1回配本を刊行した『新井奥邃著作集』がやっと第9巻まで来た。本巻としてはこれが最終となる。別巻には、キーワード索引、聖書との対照表、補遺、墨蹟等を収めることになるだろう。
第1回配本分の第2巻が幾つかの新聞や雑誌に取り上げられ時、「この全集が完結したら大変なことだ」と褒めてくれた書評子がいた。その後、その書評子が、どういう理由だったか詳細は分からぬが亡くなった。街の公園で発見されたと聞いて、彼とは直接の縁はなかったけれど、何が何でも完結させねばと発奮もし、前途多難を予感した。
もう一つ、思い出すのは、生前の新井を知る最後の生き証人・工藤直太郎氏に、第2巻のゲラをお持ちしコメントをいただこうと伺ったその日、数時間の差で挨拶できずに氏が亡くなられたことだ。生死のことは人知を超えていると思ったし、また、氏が全身全霊をもって『著作集』刊行を後押してくださったようにも感じた。
本当は、ぼくはこの仕事に相応しくないのだろう。卑下して言うつもりはないが、自分の地金が年と共に少しずつ見えてくるにつれ、また、編集を通じて直に新井の文に触れる度に、ますますそう思う。若気の至りで始まった企画かもしれない。しかし、若気も、ある場所では用いられるかとみずからを慰め、何よりも、多くの有り難い縁に支えられてここまで辿りついた。エネルギーを振り絞り、全巻完結の務めを果たさなければならないと思っている。
■新井奥邃著作集本巻完成、おめでとうございます! ついに、三浦さんの宿願の大仕事が一段落するのですね。まさに、いま、春風社は大きな飛躍の流れに乗り出したのだと思います。最近も、春風社は相次いで新刊本の出版ラッシュですし。いま、こんなに翔んでいる出版社はめずらしいのでは…。社員たちの地道な努力に拍手を贈りたいです。
■新井奥邃著作集が完結することは、いよいよ専門的な研究者たちの本格的な解釈・批評作業がスタートする時期が到来したことをも意味しています(信頼のおけるテクストが確定した段階で、学問研究の幕開けとなるのでしょう)。
■三浦さんは、ほんとうに意味のある大事な仕事をされたのだと思います。今後も、深みのある企画を世に送り出していってください。楽しみにしています。
■もうじき、2005年ですが、NHK大河ドラマも「義経」ですし、東北がクローズアップされてゆくことになるでしょう。それは、新井奥邃思想が脚光をあびることにもつながるでしょうし、何よりも春風社の東北魂がますます活気づいて出版界に一大旋風を巻き起こすことにも結びつくと思います。そして、小野寺先生の東北的思索にも、ますます期待しています。
■日本をあたためる春風を…。
第9巻、今月末か来月初めには刊行されます。今回は書簡が中心ですが、奥邃は何しろ晩年、手紙類をことごとく燃やしたそうですから、例外(託送されたものが何らかの理由で奥邃の許へ届かなかったとか)を除き、残っていません。反対に、奥邃からもらった手紙はそれぞれが大事に保管し、さらにご遺族が失くさずに取っておいてくれました。それが今回の巻に繋がったわけです。縁に感謝。
いつも応援ありがとうございます。御著書『信仰の美学』は今、若頭ナイトウが渾身の力を振り絞り鋭意編集に当たっています。しばしお待ちを!
●三浦さん 感謝しています。春風社は、あらゆる面ですぐれた出版社だと思います。新井奥邃の全集を刊行するという偉業もすぐれていますが、ホームページのブログ化やデザインなども最先端をいっているので、まさに「伝統と創造の調和」の旗手だと思います。出版社というよりも「創造的藝術集団」ですね。
●現代を活気づけてゆく疾風怒濤の藝術集団。
●新著『信仰の美学』を貴社から刊行していただけることは、まことに光栄の至りです。感謝しています。内藤さんの編集手腕は、深い思索に支えられた適切な批評精神に満ちていて、名人藝の極みだと思います。
●三浦さんの毎日のエッセイも才気煥発、柔軟で包容力のある名品ぞろいで、ぜひ一冊になるといいですね。楽しみに読ませていただいております。 感謝。