方言の味

 

子どものころ食べた郷土料理がなつかしく
わすれられない味であるのと同様に、
子どものころ耳にしたことばは
わすれられない。
先日このブログに薬草センブリ(千振)について記し、
「センブリのことをわが田舎ではセンフリ」
と書きましたが、
その後、秋田在住の弟から、
センフリでなくヒンフリといっていたのではないかと連絡がありました。
まいにち読んでくれているのがありがたく。
こころを静かにし、
ゆっくり思い出してみると、
祖父も祖母もたしかにセンフリとは発音していなかった。
弟はヒンフリと記憶しているようですが、
わたしは「ヒ」よりも「ヘ」に近く
ヘンフリだったような気もします。
「ヒ」と「ヘ」のあわいにまた
いうにいわれぬ味があり。
せっかくなので調べてみたら、
やはり秋田ではヒンフリ、ヘンフリ
という地域があり、
かと思えば、
センフリというところもあることが分かりました。
しかし、
わたしのいなか
秋田県井川村(いまは町)仲台地区では
センフリとはいっていなかった。
弟のいうところが正確です。
わたしの記憶は、
その後いろいろのことが刷り込まれ、
いつの間にか改変されてしまったのかもしれません。
きょうもこれを
にがいヒンフリを飲みながら書いています。

 

・田の水の清々しきや夏来(きた)る  野衾