深雪

 

・雪かきの父の眼鏡の曇りけり

深い雪と書いて、
みゆき。
俳句を考えていたら、
不意に思い出しました。
高校教師になり、
初めて担任した高1のクラスにその名の生徒がいました。
明るく元気、はつらつとした子で、
英語、国語をはじめ、
数学以外はいつもトップクラス。
ところが、
数学だけはからっきし。
そこで、
なんでだろうと疑念がわき、
放課後だったか、
夏休みだったか、
記憶が定かではありませんが、
その子のためだけに、
補習みたいなことをやりました。
わたしは社会科の教師でしたが、
数学が好きだったし得意科目でもありました。
その子のため
ということはもちろんですが、
数学あるいは算数の学習過程の
どこかでつまずいているはずだと睨み、
それがどこでなのかを確かめたかった
ということも
個人的にありました。
最初は恥ずかしがっていた深雪さんですが、
一対一の勉強に
だんだん慣れていくようでした。
そしてついに発見!
分数の割り算の理屈が
どうやら合点がいっていないのでした。
そこでつまずいて、
以後ガタガタと…。
深雪さん喜んだ喜んだ。
わたしもスッキリ!
高校を卒業した年、
深雪さんは北海道を旅行し、
アイヌの木彫り人形を
お土産に買ってきてくれました。
きみまろ風に言えば、
あれから三十五年
にもなりますが、
今も大事にとってあります。

・飛び出して脚に重たき深雪かな  野衾

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。